主著『存在と時間』における共存在の内在的解釈を発端とし、1930年代までのハイデガー

の学問観から本来的共存在を照射。さらに、有限性と共存在の批判的受容から、他者性

と共同性の今後の展望を提示する。





目次



序 論 「存在への問い」から「共に在ること」へ



第I部 存在への問いと共同性――『存在と時間』における本来的共存在への道――



第一章 存在の意味への問いと「破壊」

第二章 現存在と共存在

第三章 現存在の現象学――本来性への実存的変様と共存在――

第四章 現存在の開示性の諸構造における共存在的含意

第五章 日常性・非本来性における共同性

第六章 単独化の経験――先駆的覚悟性の諸相――

第七章 先駆的覚悟性と本来的な共存在――自己自身への促しとしての顧慮と他者の応答――

第八章 『存在と時間』の問題圏における本来的共存在の位置価



第II部 哲学と共同性――哲学、学問、大学への問い――



第一章 大学から現事実的な生の問題圏へ――一九二〇年代における大学論の萌芽――

第二章 生を解明する発端としての自己世界

第三章 生に肉薄する哲学

第四章 根本諸概念の危機と克服

第五章 真理と共存在

第六章 有用性を超えた行為としての哲学

第七章 共に哲学する者たちとしての闘争共同体――大学改革論における哲学と共同性の問題――

第八章 哲学と諸学問との対話の行方



第III部 有限性と共同性――死と共存在の問題の批判的受容――



第一章 各私性と自己――「われわれ」の問題圏へ――

第二章 「われわれ」としての現存在の根源的な複数性

第三章 死と存在の回路――私の死から「われわれ」への道――

第四章 レヴィナスにおける非対称的な他者との邂逅――他者の死への応答責任を基礎とした社会――

第五章 限界上で生起する共同体――ジャン=リュック・ナンシーにおける有限な共同体――

第六章 おのれを曝し合う者たちの共同性――バライユからブランショへ――

第七章 合理的な共同体を錯乱させる他者との邂逅



結 論 「共存在」の内と外