**『荒木経惟写真全集 第1巻 (顔写)』**は、日本を代表する写真家・荒木経惟（アラーキー）が、1996年に平凡社より刊行した全20巻の写真全集の第1巻にあたる作品です。本書では「顔写」と題され、人間の顔をテーマにした作品が中心に収録されています。荒木が長年撮影してきた肖像写真を網羅し、彼の芸術的視点や被写体との深い関係性を堪能できる一冊です。

この巻では、「顔」を通じて人間の本質や感情に迫る荒木独自の視点が展開されています。被写体は有名人やモデル、友人、街で出会った人々など多岐にわたり、写真の中にその人物の個性や瞬間的な感情が刻み込まれています。また、写真の多くがモノクロで表現されており、荒木特有のハイコントラストな技法が「顔」というモチーフの持つ力強さと繊細さを引き立てています。

•被写体は、単なるポートレートの枠を超えたアート作品として表現されています。
•被写体との距離感や、荒木自身の視点が独自の感情を生み出している。
•街頭スナップや即興的な撮影手法が多く、被写体の日常や偶然の表情を捉えています。

荒木の「顔写」は、静的な肖像ではなく、動的なストーリーや感情を伝える写真として位置づけられ、彼が「写真は感情で撮るもの」と語る哲学を如実に表しています。

肖像写真の枠を超えたアート作品として高く評価されており、人間の内面や社会的な背景までも浮き彫りにする力があります。荒木は、被写体との関係性や、その場の空気感を写真に封じ込める天才であり、その独自の手法がこの作品集全体を通じて感じられます。また、写真そのものが「生」と「死」をテーマにしている荒木のライフワークを象徴しているともいえます。

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