このラジオにノスタルジーを感じる方は割に多いかと思います。
ソニーのソリッドステート11と殆ど同じ68年頃に発売され、結構長い間ソニーのカタログに掲載されて居ました。
当時のホームラジオとしては飛び抜けて垢抜けたデザインで、今見ても良いなあと思います。
12cmのアルニコ磁気回路のスピーカーを使っていて、出力は1.5W。同時に発売されたステレオアダプターも同じ意匠で殆ど同じ定格だったので、ステレオで3Wという当時としては夢の様な大出力で、セラミックカートリッジのLPプレーヤーが直接繋げられます。これ一台で電蓄となり、アダプターを付ければそのままでステレオになるというのも当時の少年達、今の爺い達の夢をかき立てたかと思います。
この個体は表題にある様に前面のスピーカーグリルに付いているソニーの銘板が無くなって居ます。アルミ板とフォトプリントで自作することも考えたのですが、結構わざとらしくなる事が分かって止めました。
但し、機械としての状態は非常に良く、過去10台位扱ったこのモデルの中でもベストかと思います。
ACコードとアンテナ線(結構効果的です)がベタついて居ましたが、今回は換気扇用強力洗剤の後に無水アルコールを使って　拭いた所、略満足できるレベル迄ベタつきが取れました。このクリーニングは今後適宜使えそうです。
ボリュームのガリも無く、キャビネットも綺麗です。
音は16cmのスピーカーを使ったこの後の機種には低音の伸びで負けますが、一方で声の帯域にクセが無い為かとても自然な音がします。
最近も昔のラジオを聴いているという方(小生も10歳以上上の方です)とお話しする機会がありましたが、この方も昔のラジオの方が良い音がする、不思議だなあ、という話をして居ました。
これは多分SPの音が良いという感覚に近いのかと思うのですが、歳をとって行くと自分が進んで聴きたい音以外は煩わしくなるのでは無いかと思います。
この当時のラジオは多分再生すべき全てのシグナルは再生出来ず、耳で聴いて良い音を使っているかと。それが結果として老人には良い音になっているのかと思うのですが、確証は有りません。どなたかご教示頂ければと思うのですが。
ACも電池でも使えるのは場合によっては便利です。