花鳥関係2冊でまとめてみました。　1994年　68P　2011年　104P　2冊とも巻末英文

〇花鳥の美　若冲から近代まで

花鳥は，人々に最も身近な美の対象として，そして憧憬の対象として古来より愛され，様々な形で生活に彩りをそえています。特に，豊かな自然に恵まれたわが国では，四季折々に多彩な変化に富んだ花鳥の美しさが人々の心をとらえ，時代時代によってその風情が文化や芸術の中に巧みに取り入れられてきました。

江戸時代中期，奇想の画家・伊藤若冲（じゃくちゅう）は，花鳥を中心に魚貝に至るまで，30幅にも及ぶ大作「動植綵絵（どうしょくさいえ）」を描きあげました。彼独特の感性によって華麗な色彩で仕上げられたこの大作は，観るものに強烈な印象を与える作品です。またほぼ同じ時期，写生を重視した円山四条派（まるやましじょうは）の画家たちは，人々が馴染みやすい自然な描写で花鳥を描きました。そして近代に入ってからは，数多くの日本画家たちが，それまでの花鳥画の伝統を引き継ぎつつも，近代的な感覚に満ちた新しい花鳥表現を模索し，個性豊かな作品を描き表わしてきました。

さらに花鳥を意匠化した近代工芸品においては，その美しいデザインと共に洗練された高度な技術にも注目されます。

それぞれの作品を通して，花鳥の魅力をあらためて感じていただければ幸いです。

〇花鳥の美　珠玉の日本・東洋美術

ごあいさつ

花島は、日本・東洋の美術作品の中で、最も愛された主題です。

四季折々の変化を見せる豊かな自然の下で、幾多の花や鳥たちが、各々の美を競いつつ華やぎある風情を伝えてきました。花を愛でる歴史は、古くから著名な詩歌によって詠みつづけられてきました。その発展と相まって、数々の花たちは絵画の主題や工芸の意匠として定着してゆきました。

一方、こうした色とりどりの花を求めて集ったさまざまな鳥たちの姿も、花と共に愛でられるようになると、花鳥の主題は、瑞々しい自然の様相と生命の輝きを象徴するテーマとして、人々の間で認識されていったのです。

本展では「花島の美」と題し、出光コレクションより絵画・工芸の優品、約八十件を厳選して特集展示いたします。色彩豊かな花園に満ちあふれた優美なる空間や、日常では簡単に見ることのできない鳥たちが集い戯れる幻想的な絵画をはじめ、草花の特徴を参考に、個性的な造形や意匠の面白味を追求した工芸など、華麗で普遍的な美の魅力に迫ります。

日本・東洋美術における花鳥の意匠が織りなす不思議な魅力と、その変遷や大いなる広がりをご堪能ください。

出光美術館

中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。表紙小傷。ページ小黄ばみ。13741

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。