平成9年　131ｐ

ごあいさつ
平成九年十月
俳聖として仰がれる蕪村は、もう一方で画才にも恵まれ、池大雅とともに我が国の文人画の大成者として、また、 俳画の創始者として知られています。蕪村は、画人として生涯師を持たず、「古今の名書画をもて為師」と自ら語る ように、和漢の様々な作家の筆意・筆法に学び、終には、独自の様式=蕪村様式を確立しました。
大阪に生まれた蕪村は、関東・丹後・讃岐などを遊歴の後、京にて画俳に一家を成します。今回の展覧会は、画 人蕪村の紹介を第一義とし、最初期から最晩年にいたる、その全画業を概観いたします。修業期の真摯な諸作品に 始まり、晩年のいわゆる「謝寅描き」と称せられる清新な作品群は、時を超越して我々に大きな感銘を与えます。 た併せて、比較的紹介される機会が少なかった、最初期=結城下館時代の作品も多数展示します。そのうちの多く は初公開でありますので、修業期の蕪村芸術が、幾分なりとも明らかになるものと思います。指定文化財を含めた 「蕪村展」は、関東圏においては久しいものがあります。俳人・蕪村の名が先行する今日において、この展覧会が、 画人・蕪村の顕彰に幾分なりとも寄与するものがあれば、この上ない喜びであります。
最後に、展覧会を実現するにあたり、貴重な作品を快く御出品くださいました各博物館・美術館、御所蔵家の方々、 ならびに御協力いただきました関係各位に、心より感謝の意を表します。
茨城県立歴史館

表紙小傷、小汚れ。ページ小黄ばみ。もちろん読む分には問題ありません。

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