平成11年 62ページ

北九州市立美術館開館25周年と森鶴外小倉着任100周年を記念して、「外 と原田直次郎展」を開催します。
森鷗外は近代の代表的な文学者でしたが、その活躍は多岐にわたり、とくに美術 の分野でも、西洋の美学、芸術理論を紹介し、また評論活動を積極的に行なうなど、 近代美術史の展開の上に多大の業績を築いています。 鷗外の美術との関係において、 若き頃の留学先のドイツにおける画家、原田直次郎との出会いは重要な出来事とな っています。 のちに鷗外の小説「うたかたの記」の画工巨勢のモデルと原田直次郎 がなったことからもわかるように、原田の芸術家としての姿勢は鷗外に強い印象を与え、 その後の美術に関する文筆活動の具体的な出発点となったことと思われます。 今回 の展覧会では、生涯にわたる原田直次郎の画業を紹介し、それにまつわる鷗外との 交流をしのびます。
さらに様々な意匠をこらした森鷗外の著書の装丁本もあわせて展示します。森鶴 外と親しい間柄にあった画家たちとの交友を工芸的な美の世界において多用に紹 介します。
また、ミュンヘンにおける森鷗外と原田直次郎の足跡および小倉における森鷗外の 足跡を写真などの資料で展観し、 百年を経てなお息づいている文学と美術の誕生の 地をたどります。
最後に、貴重な作品、資料をご出品いただきました各美術館、博物館、 所蔵者の方々、 関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。 ことに豊科近代美術館、 文京区立鷗外記念 本郷図書館には格別のご配慮とご協力をたまわりました。 ここに記し心から感謝申し 上げます。

表紙小傷。ページ小黄ばみ。

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