2001年 厚さ1.5㎝程度

ごあいさつ
東京都現代美術館では、これまで国内外の多くの作家の個展を開催してきました。 新しい世紀の最初を飾る本年は、サブカルチャーとコンテンポラリー・アートのはさまで常に
新しい領域を大胆に切り開き、世界から注目を集めているアーティスト、 村上隆の個展を開催いたします。
村上隆 (1962年生まれ) は、 東京藝術大学大学院博士課程(日本画専攻) に進み、日本画家としての将来を約束されていました。 しかし、在学中の1990年代初め頃より、伝 統的な日本画の表現を離れ、 コンテンポラリー・アートという新たな領域に手を染めます。 当初から村上のアートは、さまざまな現代美術の手法を取り入れながら同時にその閉 ブカルチャーと、それを取り巻くオタク文化を大胆に取り入れた絵画や彫刻を次々と生みだし、日本文化の今日の姿を反映したポップ・アートとして、内外で次第に高い評価を得 鎖性や不毛性をも浮かび上がらせる、 アイロニカルな性格を強く持っていました。 その後1993年頃から、 オリジナルキャラクター 「DOBくん」 を中心に、アニメやマンガなどのサ るようになりました。1990年代後半からは海外での発表が相次ぎ、現在では、日本ばかりではなく世界的にみても、同世代を代表するアーティストの一人とみなされています。ま た、若手アーティスト集団「ヒロポンファクトリー」を主宰して新しい才能の発掘につとめ、斬新な日本美術・文化論 「Superflat」を発表するなど、アートの未来を見据えた多彩
な活動も、大きな注目を集めています。
今回の展覧会は、村上隆のこれまでで最大規模の個展であり、新作をまじえて、代表的な絵画や彫刻が100点ちかく出品されるとともに、ウォール・ペインティングやバルーンも 駆使して、村上ワールドを存分に展開します。また、ヒロポン・ショーや芸術道場GP (グランプリ)、ロックバンド「くるり」のコンサートなど、会期中には、これまでの美術館の展覧 会では考えられなかったような、さまざまなイベントが予定されています。21世紀最初の年を飾るにふさわしい、若いエネルギーにあふれ、アートの未来を予感させるニュータイプ
のエンターテイメントとなることでしょう。
最後になりましたが、この展覧会のためにご協力をいただきましたキヤノン株式会社、株式会社海洋堂、シャープ株式会社、日本航空株式会社、 丸沼芸術の森、助成をいただ きました財団法人朝日新聞文化財団、貴重な作品をご出品いただいた諸機関、画廊、所蔵家の方々、またさまざまなかたちでご助力いただきました関係各位に、こころからお礼 申し上げます。そして、展覧会実現のために、準備段階より多大なる時間を割き、あらゆる面で惜しみないご尽力を頂戴した村上隆氏と有限会社カイカイキキに、深い感謝の意
を表します。
2001年8月
東京都現代美術館

表紙小傷、小黄ばみ。ご理解の上、ご購入下さい。もちろん読む分には問題ありません。

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。
また複数冊ご購入いただいた場合同梱発送を予定しております。ご理解のほどよろしくお願いいたします。