昭和57年　246P

それだけに人間ドラマも、脂っこく、ねばっこく、強烈である。淡白な日本料理と濃厚な中国料理の差といえば理解していただけようか。

本書は、そのような中国人のドラスチックな人間乱舞の赤裸々な姿を、史書の裏側に視点をあてて描き出したつもりである。平板な教科書的史書には書かれていない、中国人の真実の姿を、お汲みとりいただければ幸いである。 私自身の恣意による勝手な加筆は無い。まさか、そんなことが...。と思われるとすれば、残念ながら、それは読者の島国的短見というほかはない。

本命後、中国人は変わった、とよく言われる。けれども私は、幾千年もの間に培われた中国人の指が、わずか二、三十年間で変わるとは思えない。変わったと見るのは、長い歴史の風雪に耐えて来た中国人に対する侮辱的偏見だとさえ思う。野太い中国人は、権威に支配されるにように見せかけながら、絶対に支配されず、どっこい生きている人種なのである。そうした 本質を忘れては、真の中国理解と日中友好は生まれない。”同文同種" とか、”一衣帯水"と かいう言葉で、短絡的に中国人がわかったような顔をするのは慎まねばならない。

―本書の収録項目一
悪徳帝王列伝
美女三千の後宮
悪女・猛女・妬婦・淫婦
のんべえ列伝
食人肉ものがたり
刺客・暗殺・報復
科挙―中国受験
宦官―醜怪なる性
纏足エロチシズム

中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。表紙小傷、小汚れ。帯小破れ。ページ黄ばみ。23511