昭和62年 470ページ

以下本書の内容について特に解説を加えたり、ここで所収各篇を要約したりする必要は あるまい。 論文紹介解説 紀行等とりまぜて二十四篇を含む本書は、 唐代を中心に中国 の首都・墳墓・明器・地方遺跡等を論ずる第I部、 東北アジアモンゴリア等の考古を対 象とする第II部、日本古代と大陸との関係にかかわる第III部、及び唐代を主とする陶磁を 論じた第IV部の四部門で構成されている。 読者は関心をもつどの部分から読み始めてもよ明器の観察を通じ、 漢代の穀を蒸す釜甑のセットを主とするかまどから、 唐代の直接 炊ける鍋をのせるかまどへの推移を見通した 「中国古代におけるかまどについて」 (第I 部8)は1955年に公刊された著者三十代の労作であり、 一方 「中国東北考古学箚記」 (第II部4) には1985年3月自ら好太王碑を訪れた体験が盛られている、 というように三十年に及ぶ著者の目まぐるしい活動が本書の基底に存在する。 訪中も十指を折る回数をかぞえ、 その旺盛な探究心は地域的にも分野的にも頗る広範にわたる。 それは鳥居 濱田・原田・ 梅原諸博士以来のわが国の東亜考古学の良き伝統を体現されたものといえよう。 多忙な考

外箱小傷、やや変色。もちろん読む分には問題ありません。

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