1994年208ページ

東と西を結ぶ「東海道」は近世の宿駅制度によって整備され現在に至っていま すが、その源流は古代の律令制度まで遡ることができます。古今この東海道をあ らゆる人々や文物が往来し、数多くの文化を生むと同時に、流通経済をも促進さ せてきました。そこには自らの願望を東西の地で果たそうとする民衆や、 また政 治的使節の厳格な旅の姿がみられます。東海道は、東西を結ぶ重要なルートであ る一方、まさにこのような人々の交歓の場でもあったと言えるでしょう。
そこで本企画展では、この東海道を近世期を中心に、その役割と仕組み、また 往来したあらゆる旅人や文物を紹介するとともに、近代になって鉄道の開通後に 東海道がどのように変貌したかを探り、東海道の担った歴史的意義を再確認した いと思います。
なお末筆ながら、本企画展の趣旨をご理解いただき貴重な資料の出品をご快諾 くださいました博物館、研究所、教育委員会、寺院、また個人の所蔵者各位に深 く感謝申し上げます。 また企画段階から種々ご指導、ご協力賜りました企画構想 委員会の諸先生方、交通史研究会、東海道ネットワークの会に対し厚く御礼申し上げます。
川崎市市民ミュージム
館長 長野隆英

表紙小傷。裏表紙上部に薄い折れ線。

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