1992年 201ページ

木喰五行明満
もくじきごぎょうみょうまん
[生]享保3(1718)
[没]文化7(1810).6.5.
江戸時代，仏像彫刻を多く残した遊行僧。甲斐の人。元文4 (1739) 年 22歳で出家。宝暦 12 (62) 年木喰観海より木喰戒を受ける。生涯を通じて全国を行脚，信仰の行として 1000体以上の仏像を彫刻し，遺作の分布も広い。彼の彫刻は江戸時代の衰退した彫刻界にあって，円空とともに新風を吹込んだ。
出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典


『風と菩薩の物語』に寄せて
障害を背負った子供さんが であることを知った木立さんは
木喰仏と出会ったその日を境に 実は如来の子鱗を落したように全国各地の木喰仏を撮り続け る子供たちの為に
短日月の間に豪華写真集を纏め上げて 同じような障害を担って頑張ってい
それらから得た基金の全てを捧げる運動に明けくれている。
まだ面識がなくても、 写真集木立さんとは一回だけ電話でお話ししただけで 胸が熱くなるような の冒頭を飾った御令兄俊美先生が書かれた「まえがき」で お目にかゝらずとも 木立さん御一家の様子は 手 想いをさせられているので そんな家庭に入り込めた木喰さんは さぞかし御満悦であ にとるように鮮明で
ろう。
司馬遼太郎は 「空海の風景」の中でならば 三十七年余の生涯を行を利他の精神で全うした木喰さんは
弘法大師は華厳の人であるという。 それ 全ての 文字どおり 『如実知自心』の日々で貫き まさに「大日経」の人と謂えるので、 木立さんはひょっとすれば
この大日経の世界に踏み込んでいるかも知れない。
九十三年の間に刻んだ仏像は千体を超えるが が心からの笑いを見せるのは八十三才を越えてからで 木立さんがくしくも出 会った木喰仏が たまたま最晩年の作、 天衣無縫の笑いのシンフォニーといわれ る十六羅漢であったことはおもえば幸運というべきで、 その笑いが木立さんの こころを開かせたのであろう。
もう二十余年も木喰さんと係わって来たのに山に入りて山を知らずの諺どお
かえって木喰さんから遠去っているような不肖の私を 木立さんにも追い抜 かれ 木喰さんの世界観を垣間見ている木立さんを慶んでよいのやら妬むべ
きなのか いま私は心の動揺を隠しきれないでいる。

表紙小傷、小汚れ。もちろん読む分には問題ありません。

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