1996年　63P　

日本が開国して、横浜をはじめとする5港が開港した19世紀の半ばに、世界は交通革命の時代をむかえていました。太平洋横断の定 期航路が開設され、アメリカ大陸横断鉄道が完成し、スエズ運河が 開通するなど、西欧人にとって世界一周の旅は夢物語ではなく、す ぐ手のとどくものになっていきました。そして何ヵ月も、何十ヵ月もかけて世界を旅行してあるく世界漫遊家(グローブトロター) と呼ばれる人々も出現し、日本にも多くの旅行者が訪れました。

ヨコハマは、こうした旅行者がまず第一歩を踏み出す地であり、また別れのサヨナラをいう港でもありました。かれらは日記や手紙 にペンをはしらせ、絵筆をとり、後年にはカメラをたずさえてきました。そして帰国後、こうした記録から多くの旅行記が書かれ、出版されました。19世紀はまさに旅行と旅行記の世紀でした。

本書ならびに「世界漫遊家たちのニッポン」展では、欧米人の旅行記に焦点をあて、かれらが「来た、見た、書(描)いた」明治の日本を、横浜を中心に紹介します。

資料の大部分は当館の所蔵資料ですが、旅行記など洋書のほとんどは、当館の日本関係洋書の二大コレクションであるブルーム・コ レクションとブラウン文庫のものです。とくに故ポール・C・ブルー ム氏旧蔵のコレクションがなければ、展示は成立しなかったでしょう。

資料の一部は他の機関・個人の所蔵品です。貴重な資料を提供し てくださった機関・個人の方々、またご協力いただいた方々に厚く お礼申しあげます。

横浜開港資料館 館長安田岩男

中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。表紙上部小傷。ページ小黄ばみ。ご理解の上、ご購入ください。
もちろん読む分には問題ありません。15991