1986年 厚さ約1.5cm

中国電力株式会社が, 中国山地に揚水式発電所建設を計画され, その上池ダムをこの新庄村に建設されました。 そこでそれに関係す る用地について, 文化財の確認と発掘調査をしたのです。
昭和54年に発掘調査委員会を組織し, 調査は岡山県教育委員会文 化課によってなされ, その経費一切は,中国電力株式会社が負担さ れたのです。
新庄村は, 中国山地のふところ深くにあり, 1000メートル内外の 山なみに,とり囲まれています。 村の全面積の93%は山地で,いた るところに鉄穴流しの井手跡があり, 砂鉄を採るため山をくずした ので, 山の形が変形しているところも多いのです。
山道には鉄滓がごろごろしており, たたらに関係した字名も多く, 鉄屎場, 鉄屎垣, 鉄屎塚, 鑪場, 鑪奥, 鑪畑, 鉄穴, 石鉄穴, 小鉄 場, 金ヶ谷など, 七十数か所もあり, 村内いたるところで, 鉄穴流 しが行われ, たたら製鉄がなされ, クロガネの里でもあったのです。 新庄村の山ひとつ向うは鳥取県であり, 出雲と都とを結ぶ要路で した。 この道は, 神賀詞奏上のため, 都へのぼる出雲国造も通って おり, 出雲文化伝播の道でもありました。 地理的位置からも,ここ には出雲・伯耆からの産鉄技術が、早くから入ってきていると思わ れます。
調査した場所は, 奥土用と神庭谷の二か所で, 近世たたらの遺跡 です。 その規模は大きく, ベールをぬいだ地下構造の全貌を見て, 見学者は感嘆の声をあげたのです。
ここにその詳細な調査報告書ができあがりました。 関係された諸 賢に感謝します。 とりわけ、 岡山県古代吉備文化財センター調査課 長河本清氏はもとより,調査とともに本報告書作成を手がけられた, 文化財保護主査柳瀬昭彦氏のご努力ご労苦に感謝します。 また中国 電力株式会社のご援助ご配慮に, 深甚の敬意と感謝をいたします。 本報告書は, 日本のたたら製鉄の研究に, 多大の寄与をすること と, 期待をしています。


中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。表紙傷、小汚れ。70711ｓ

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。