平成元年321ページ 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

昭和五十年の秋には本書を書上げられたといふ。それが十数年経って、池田さんの八十寿賀を祝して刊行されるこ とになったのは、誠に御同慶にたくない。
池田さんのあの情熱、あの文章を以て書上げられた本書は、池田さんのお人柄を知る者の一人として、正に待望の 書といふべきである。あるいは池田さんの著述の圧巻であるかも知れない。自序の終りに「この拙き一本は反流行的 であり非今日的であるが」云々と記してあるが、どうしてどうして、非今日的であらうか。三国の正統論、そこに活 躍する人物諭、さらにそれを取まく諸事情、どれをとっても極めて今日的といふべく、池田さん自身も序の中で「こ うして三国志のもつ意義は千七百年後の今日でも生きているのである」と断じて居られる。この書が書かれたのは、 前にも記した様に十数年前のことで、中共にはまだ毛沢東が権力を振ってゐた時であるが、「正間論は領土人民の大 小でなく理の当否に拠って決する。いづれが民族の文化伝統を正しく継承しているかによつて、正閠偽を決定する」 と言はれたのは全く賛成である。
さて池田さんと私が相知ったのは、和崎博夫氏の主宰するアジア問題研究会の会合においてであるから、もう三十 数年の昔のことである。自来度々会唔の機があり、私の畏敬する先輩である。その先輩の著書に私などが序文めいた ものを書くのは、全く身の程を知らぬといふものだ。今回も先日、和崎君が来訪せられこの話を持出した時も、極力 辞退したのであるが、そこがまた和崎君の不思議なところで、一方私にしても上述の様な因縁があるから、遂に説得 されてかくは相成った次第である。 池田さんの御宥恕を切にお願ひする。
平成元年十月三十一日
著者前書
宇野精一 (東京大学名誉教授)

お探しの方、お好きな 方いかがでしょうか。

中古品ですので傷・黄ばみ・破れ・折れ等経年の汚れはあります。外箱傷、裏側ややシミ。巻頭に記名あり。ご理解の上、ご購入ください。
もちろん読む分には問題ありません。63501ｓ

なお細部に至るまではチェックしきれない場合がありますので、書き込み・線引き・記名・蔵書印・値札等ある場合があります。ご理解の上、ご購入下さい。
あくまで一般的な中古品ですので、状態にこだわる方はご購入をお控えください。