2003年　290P

井上泰幸、生賴範義、開田裕治、西川伸司、橋本満明、三池敏夫の作品や資料を収録。点数500余点。
後半ページは、漫画家西川伸司が描くゴジラ狂時代とミレニアム創世記、メカゴジラ狂時代を復刻収録。

映像表現の手段としての名称だった特殊撮影が””という映画のジャンルとして表現されは じめたのは、東宝が製作した映画「ゴジラ」でした。1954年に製作された「ゴジラ」は、現在まで 映画の代表作です。それまで、映画の一部であった特撮を、映画自体の目玉として、 への訴求効果の中心に据えたことは、映画業界に多大な影響を与えたのです。観客は映画自 体のストーリーを観るだけでなく、特によって創りだされた、今まで観たこともない映像に魅了 され、それまでの映画と異なり、物語や演者を観るだけではなく、夢を観る現実を目の当たりにで
だということに気づいたのです。

「ゴジラ」はシリーズ化され、映画全盛時代の一端を担い、 様々な怪獣映画へと派生していき ます。映像娯楽がテレビに移行した後も、特撮映画として確固たる地位を築いてきました。主役 である怪獣ゴジラは、その映画の世相に求められる容姿に変化し、時代とともに新しい着ぐるみ が割られてきました。 これらゴジラシリーズで使用された着ぐるみの変遷を追いかけることは、た だ単に怪獣の容姿の変化を紐解くことではなく、特撮技術の進化そのものを紐解くことなのです。 一覧することによって進化の影に創り手たちの努力が存在していたことを確認できるのです。
一般的な映画美術は、美術デザイナー、大道具、小道具などに分類され、監督のイメージをセッ ト内に再現したり、時代背景などに基づき、デザインを統一することが主な作業になります。しか し特撮映画では、その世界観が現実に則したものではなく、空想科学であることが多く、時代背 景や現実の地域に準ずるデザインではなく、より飛躍したイメージを現実の世界に違和感なく具 体化する、高いレベルの想像力が要求されます。現実のビルと怪獣やミニチュアの比率、撮影力 メラの位置や画角を緻密に計算し、今までにない映像をリアルに追求していきます。特撮映画で 特撮美術という職種はとても重要な役割を担っているのです。
今日では、特撮技術はひとつの文化として認識され、後世に語り継がれるべき重要な技術だと 考えられています。 デジタル技術の躍進によって、撮影した素材を後処理によるCGで置き換え ることができるようになり、特撮美術の範疇も変化してきました。特撮映画はリアルな映像を表現 するため、より緻密に計算された高度な撮影が行われるようになりました。ゴジラ誕生60周年を 飾るハリウッド製作の「ゴジラ」は最新のデジタル技術で現実的な空想の生物を映しだし、全世界 に衝撃を与えました。
日本でも、新作「ゴジラ」が製作されることも決定し、これからも特撮技術を駆使した驚くべき映 像が創りだされることでしょう。
この図録は、2015年5月、 みやざきアートセンターで開催された 「ゴジラと特撮美術の世界 展」から、展示されたポスター、イラスト、デザイン画、コンテなどを編纂し、 特設されていたゴジ ラなどの着ぐるみ特写を加え、特撮の魅力をあますところなく伝えています。 特に、これまであ まり公開されてこなかった特撮美術に関するコンテ、 演出プラン図は、映画として創り上げられ た空想の世界が、どのようにして撮影されていたか、 特撮映画ファンのみならず、 すべての映画 楽しさを伝える貴重な文化資料となっています。


表紙小傷程度で比較的きれいです。特に目立った傷や汚れはありません。48501旧

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