こちらはヴィンテージの幸楽窯製有田焼の小さめのカップアンドソーサーです。母が鑑賞用としてキャビネットにて飾っておりました。まるでジブリのハウルの動く城で、ハウルの書斎の机で蝋燭の光を受けて暗がりの中で輝くような、どこか妖しげなオリエンタルな雰囲気があります。

幸楽窯は、佐賀県有田で1865年に創業した窯元です。有田焼は約400年前に朝鮮人陶工によって製作され、もともと「初期伊万里」という名前で流通していました。当時の作品は中国の磁器に強く影響を受けており、染付をしたものが主流だったようです。始めは青い顔料で色を付けるだけのシンプルなものでしたが、1640年頃には初代酒井田柿右衛門によって上から絵を描く手法に成功しました。この頃には色鮮やかで見た目にも美しい磁器へと変化しました。その後1600年代後半に有田焼の窯が伊万里市に移ると、金襴手様式（きんらんてようしき）と呼ばれる様式が誕生し、この頃は経済も豊かだったため、赤や金などを使った派手な装飾の有田焼が作られていました。金襴手様式は現代にも引き継がれている様式で、非常に華やかな見た目で人気があります。

その中でもこちらは柿右衛門様式で絵付されており、濁手と呼ばれる乳白色の背景に余白を残し、黒い線と鮮やかな赤・緑・黄・青・紫・金で花鳥風月を描く特徴が見られます。細やかな青海波や唐草の文様の他に牡丹と鳳凰が非常に細やかに描き込まれているのが見てとれます。ソーサーの六角形は亀の甲羅をイメージさせ縁起の良さを感じさせます。カップのフォルムは優美かつ繊細で美しく、金縁や持ち手にまで絵付がされており、抜かりない高度な技術と品のある華やかさを醸し出しております。

こちらはデミタスカップで、レギュラーコーヒーの半分サイズになります。エスプレッソよりは大きめのサイズですが、60cc～100cc 前後が基本の大きさです。トルココーヒー用として使われることもあります。秋の読書タイムに味わい深い一杯のお供としていかがでしょうか。

カップ　直径 約9.5cm 高さ 約6.5cm

ソーサー　直径 約14.5cm 高さ 約2.5cm


古いものにしては大変綺麗な状態ですが、既製品にはない大らかさがあります。写真が全てですので、よく見て納得してからのご検討を宜しくお願いいたします。

骨董　アンティーク　蔵出し　古伊万里　和食器