萩原葉子
講談社文芸文庫　2冊セット

①蕁麻の家　いらくさのいえ

　著名な詩人である洋之介の長女に生まれた嫩は、八歳の時母が男と去り、知能障害の妹と父の実家で、祖母の虐待を受けつつ成長した。家庭的不幸の”救いようのない陥穽”。親族は身心無悴の「私」の除籍を死の床の父に迫る。『父・萩原朔太郎』で文壇的出発をした著者が、青春の日の孤独と挫折の暗部を連絶な苦闘の果てに毅然と描き切った自伝的長篇小説、三部作の第一作。女流文学賞受賞
　
②天上の花　三好達治抄

　萩原朔太郎の知遇を受けた詩人三好達治に幼い頃から慈しまれた著者が、詩人を懐かしみその人間像を鮮烈に描写。越前三国の愛と憎悪に荒ぶ詩人と著者の叔母との逃避行「慶子の手記」では三好の隠された三国時代を、鋭い観察力と強靱な感性で連絶に描く。詩人の深奥の苦悩に激しく迫る傑作。
田村俊子賞、新潮社文学賞受賞。

表紙カバーにスレやヨレ、本文紙にやけなどの経年変化があります。
古本であることを理解の上、
写真にて十分に状態を確認し、購入をご検討ください。