1点は口縁が鐔状（つばじょう）に広がる唐蔓花文様？の染付中鉢、もう１点は口縁や高台周辺の単純な雷文？、見込みや胴には太い葉唐草文様？が、胴下部の茶色の輪がアクセントになる肉厚のある染付小鉢です。

いずれも江戸後期以降の古伊万里だと思います。



飾りケースに保管の染付鉢です。汚れは多少ありますが、使用により生じたと思われるキズ、欠け、ヒビ、割れなどはほとんど見られません。当時の陶磁器では製造時に生じるとされる傷があるようですが、出品の染付鉢にも製造由来の傷（ソゲ、釉ハゲ、貫入、フリモノなど）が見られます。以下は外観状態、大きさなどの説明です。

【中鉢】

表裏全体に細かなヒビ（貫入）が見られ、口縁の一部に釉ハゲ（画像写真3枚目橙色矢印）が、他の製造由来の傷は見られないようです。なお、高台内側は無釉で胎土が出ています。

大きさや重さは、およそ次の通りです。

口外径１５ｃｍ、口内径１１ｃｍ、鍔幅２ｃｍ、高さ６．５ｃｍ、深さ４．８ｃｍ、高台高７ｍｍ、高台外径６ｃｍ、重さは３９０ｇです。

【小鉢】

画像写真３枚目青色矢印で見られるように小さく薄い欠け（ソゲ）が、また、画像写真４枚目青色矢印ヶ所などで見られるように、口縁・胴・高台周りには、焼成時窯内に漂う灰などが器体に付着したまま焼き上がった小さな黒点（フリモノ）が比較的多く見られます。

大きさや重さは、およそ次の通りです。

口外径１１ｃｍ、口内径９．５ｃｍ、高さ５ｃｍ、深さ３．８ｃｍ、高台高４ｍｍ、高台外径６．８ｃｍ、重さは２３０ｇです。



時代が進むにつれ、古伊万里期に使われていた青色顔料「呉須（ごす）」や釉薬は改良され、焼成技術の進歩、染付絵付けの細密化などで（古）伊万里焼は世界に通じる上質で高級な焼き物へと進化しますが、出品の染付鉢はそのような上質高級なものではないと思います。当時の謂わば普及品で、重さもあり食器ではなく、味噌、醤油、塩などの調味料容器ではなかったかと、想像ですが。

出品の古伊万里染付鉢を自由な用途に活用していただければ幸いです。なお、水漏れのない事を確認しています。