シューベルト

①交響曲第9番ハ長調 D.944『グレート』

②『ロザムンデ』序曲



指揮：カール・ベーム

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団　

録音：1963年①、1971年②



以前から高い評価を誇る名盤で、元気だった頃のベームがきわめて力強い演奏で聴かせてくれる『グレイト』です。ベルリン・フィルのサウンドも現在とは異なる剛毅なもので、伝統的シューベルト演奏の価値観に根ざした壮大なスケール感が交響曲好きをうならせる演奏を実現しています。『グレート』は、その剛健そのもののサウンドと頑健きわまりない造型が昔から絶賛されており、この名指揮者が残したレコーディングの中でも屈指の傑作とされるばかりか、ドイツ的シンフォニズムの典型とまで称えられた名盤です。なんといってもこんなに豪華極まりない「グレート」が聴けるとは至福と言う言葉がぴったりでしょう。作曲当時のオケの響きはこうでなかったかもしれないけれども、シューベルトが夢見たのはこういった演奏ではなかったのかと想像します。ダイナミクスもアゴーギグも音色もよく考えられていて、さらに、そういったことを感じさせないとても自然で雄大な音楽の流れがあります。 さらに、録音の古さを全く感じさせず、ベルリンフィルの質実剛健なサウンドも堪能できます。



ベームがまだ円満な方向に枯れる前の録音。何と細部まで気品に溢れ、同時に毅然とした迫力に満ちた緻密な演奏だろうか。第一楽章冒頭のホルンの響きからして、楽譜に書かれた一音一音へのスフォルツァンドを大事にした、まるで遠くから響いてくるような、実に細やかな演出力。他の演奏の入りがみんなぶっきら棒に感じられてしまう。第２楽章も、大変にドラマチック。第１主題の、最初は淡々と寂しげであるけれども遂には悲愴なまでに盛り上がるまでの歩みと、一転して長調に転じた第２主題部の、もの柔らかい旋律の美しさのコントラストは聴きどころ。第３楽章の中間部のレントラー舞曲のような妙なる響きも息を呑む心地よさ。そして終楽章。ベームがここまでエネルギッシュだったかと圧倒される痛快な演奏。イン・テンポでガンガン突き進む。こればベルリン・フィルの高度な合奏力もあってはじめて可能なのだろう。



国内盤、帯無し、盤面傷無し

帯はありませんがそれ以外は新品に近い美品です



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