刊行年 1993年 初版　　
ページ数 613p

隠された公害の掘り起こし、発見された患者の認定いくつかの勝利を経…時間の壁の前で、やむなく選んだ和解による決着までの道のりを克明に跡づけた稀有の記録。


宮崎の山奥、神話と伝説の里、高千穂町「土呂久鉱毒事件」の告発から和解に至る20年が詳らかに記録されています。

被害者である村人と、支援者と呼ばれる都市の住人が手を結び、加害企業や行政を相手に闘いを挑んでいきました。


土呂久公害史年表: p598～608

※年表の他、教材や文献も付す


歴史の闇に消されかけていた砒素中毒事件は、日本列島が公害におおわれた時代に、世間の注目を集めることになります。

1971年、小学校の教師が埋もれていた土呂久公害の調査を開始し、教育研究集会で「山奥の村で多くの患者が救けを待っています」と発表し、マスコミに取りあげられたのです。

［歴史］
第1次世界大戦後、日本は、ドイツに代わって亜砒酸の輸出国にのしあがります。

亜砒酸は、砒素の化合物の中でもっとも毒性が強いといわれ、農薬や毒ガスの原料として使われた猛毒物です。

宮崎県高千穂町の土呂久鉱山、木城町の松尾鉱山では、1920年ごろから「亜砒焼き窯」と呼ばれる前近代的な装置で硫砒鉄鉱を焼いて、亜砒酸の製造を始めました。

やがて、鉱山周辺では、蜜蜂がいなくなる、椎茸がとれなくなる、植林の成長がにぶる、牛や馬が病死するなどの被害がでます。

鉱山労働者や周辺住民に、砒素中毒の症状がみられるようになります。

住民たちは、鉱山会社や役場に被害を訴えて操業の停止を求めますが、その声を聞く耳をもつ者は現われず、社会問題になることはありませんでした。

全国の鉱山が次々とつぶれていく1960年代に、土呂久と松尾の鉱山も閉山しました。


こちらは、執筆者の一人、土呂久と松尾の鉱山の弁護士さんから贈呈されたものです。


実は、私自身購入していましたから2冊あります。

コチラを出品します。

出品価格に悩みました。

今日では、希少なレア本になっているようです。

楽天ブックスにて7,８00円で販売されていました。