セザンヌ主義
父と呼ばれる画家への礼讃
ピカソ・ゴーギャン・マティス・モディリアーニ GUIDE BOOK

✦「近代絵画の父」ポール・セザンヌ
パリの批評家からは酷評され続け、偏屈で短気な性格から、友人も少なかった風変わりな画家は、故郷エクス=アン=プロヴァンスで、伝統絵画の荘厳さと現代の色彩を融合させるという、自らの表現を探求した。エクス郊外にモチーフを求め、アトリエにこもって、セザンヌが生み出したのは、重なり合う絵の具の層が光輝く、理知的な構図を持った新しき絵画。そんな彼の作品に、惜しみない賛辞を送ったのは、主に、次世代を担う画家たちだった。セザンヌから多くを学んだピカソは言う。「セザンヌ！彼は我々みんなの父のような存在だった」

✦ヨーロッパのセザンヌ主義
……、ほとんど無名だったセザンヌ。そんな彼をパリの画家たちの間で一躍有名にしたのは、1895年、画家ピサロの推薦で画商ヴォラールが企画した、セザンヌ初の大規模な展覧会だった。すでにゴーギャンはセザンヌの新機性を高く評価し、彼と総合主義を確立したベルナールやナビ派のドニがセザンヌをエクスに訪れたのは、この展覧会以降のことである。「自然を、円筒形、球形、円錐形として扱いなさい」というセザンヌの有名な言葉は、ベルナール宛の手紙に書かれたもので、彼らの回想録や書簡集は、孤高の画家セザンヌの神格化に、大いに貢献することとなった。
セザンヌの評価が決定的になったのは、彼が亡くなった翌年、1907年にサロン・ドートンヌで開催されたセザンヌの大回顧展である。そこで衝撃を受けたピカソとブラックは、複数の視点をひとつの画面に構成するセザンヌの手法を取り入れた「キュビスム」を推進、絵画の歴史に新たな一ページを開いた。………

✦セザンヌと彼をとりまく人々
　19世紀絵画
印象派　同時代の仲間たち
マネ、モネ、ピサロ、シスレー、ドガ、ルノワール

ゴーギャンと総合主義　
初期のセザンヌ評価
ゴーギャン、ベルナール、ドニ

　20世紀絵画
キュビスム　
抽象化を導いたセザンヌの言葉
ピカソ、ブラック、ロート

フォーヴィスム
前衛精神の支柱としてのセザンヌ
マティス、ヴラマンク、デュフィ、ドラン

エコール・ド・パリ
セザンヌが神格化された1910~20年代
モディリアーニ、キスリング、ヴァン・ドンゲン

美品