書名：夜の訪問者

著者：青山光二

発行：昭和24年2月5日

発行所：中央公論社



『杏壇』『浄らかな別離』につづく青山光二の３冊目の著書で、戦後第一作品集。目次は「旅への誘ひ」「抱擁」「海浜ホテルへ」「映写幕」「夢の工場にて」「夜の訪問者」と「あとがき」。

宮内寒彌あての献呈署名本です。



パラフィン紙でカバーをかけてあります。

全体的に経年の焼け、染み、薄汚れが見られますが、大きなダメージはありません。



青山光二は1913年2月23日、神戸市生まれ。第三高等学校を経て東京帝国大学文学部美術史学科卒業。東大在学中の1935年、柴野方彦、織田作之助、白崎礼三、瀬川健一郎らと同人雑誌「海風」を創刊する。卒業後も1940年、田宮虎彦、十返肇、野口冨士男、船山馨らと青年芸術派を結成するなど文学活動を続ける。この間教職、映画社員を経て応召、敗戦を迎え、以後は文筆生活に専念、「文芸時代」「近代文学」同人として活躍する。戦後、「旅への誘ひ」「悲歌」などの私小説風連作を発表。1956年、「法の外へ」で直木賞候補。その後、任侠ヤクザ小説路線に移行し、1965年、「修羅の人」で再度直木賞候補、小説新潮賞を受賞。1976年、「竹生島心中」で三たび直木賞候補となるが賞を逸す。1980年、大正末期の土木業者間の紛争「鶴見騒擾事件」を描いたノンフィクション小説「闘いの構図」で平林たい子文学賞受賞。2003年、私小説「吾妹子哀し」で史上最高齢の90歳で川端康成文学賞を受賞し話題になる。2008年10月29日、誤嚥性肺炎により満95歳にて逝去。