ホルスト

組曲《惑星》作品32

①火星、戦争の神

②金星、平和な神

③水星、翼を持った使いの神

④木星、快楽の神

⑤土星、老年の神

⑥天王星、魔法の神

⑦海王星、神秘の神



ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1981年録音



なんといっても「木星」が聴きものでしょう。

2017年の名曲名盤500では、カラヤンの旧盤(1961年盤)と新盤(このCD)が第3位に入っています。新旧両盤の票の食い合いで3位ですが、実質的には第1位だと思います。吹奏楽ファンも聴き逃せない名演です。



1961年にウィーン・フィルと『惑星』を録音したカラヤンは、20年後の1981年、手兵ベルリン・フィルを指揮して再録音を行いました。1981年1月～3月、ベルリン、フィルハーモニーザールでの収録。1961年盤と比べるとテンポ設定はやや遅めで、緩急自在のコントロールで聴かせどころを際立たせていて、濃厚でよく工夫されたドラマティックな演奏です。第1曲「火星」のダイナミズム、第2曲「金星」や第5曲「土星」のしなやかなリリシズム、第4曲「木星」の流麗さなど、聴き応えは決して1961年盤に劣らない名演です。音質も良好。



カラヤンの『惑星』といえば、ウィーン・フィルを振った昔のデッカの、ジョン・カルショーがプロデュースした録音が長く名演と知られてきましたし、確かに、明るく輪郭のくっきりした、派手やかな音響のゴージャス感は今も凌駕するもののない名録音と思えます。当時のカラヤンの精力的に畳み掛けるような力強い演奏は今聴きかえしても、魅力的です。ただ、この後年のベルリンフィルとの演奏のほうが、おそらくホルストのこの作品がもっている神秘的で、無限の底知れない闇のなかに広がる宇宙空間を感じさせる意味では、より曲にマッチしていると思います。このような懐の深さを感じさせる名演もあって、やはりカラヤンという指揮者を今更ながらに見直すときがあります。



国内初期盤【CD本体は西独盤】

帯無し、盤面傷無し 15



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