田中小実昌『ポロポロ』



★田中小実昌さんは、よくテレビにも出演されていて、とぼけた語り口がどこまで本気か計りかねる、おもしろい方でした。キリスト教牧師の家に生まれ、東京大学にも進学していた青年を、戦争末期に繰り上げ招集し、中国大陸に行軍させ続けたことの「重さ」がずしりと感じられてきます



★幽体離脱して眺めていたのでは、と思わせる表現や、記憶の細かさと曖昧さが混じった感じが、逆に透徹したリアルさを伝えてきました



★奥泉光（作家、近畿大学文芸学部教授）、加藤陽子（東京大学大学院人文社会系研究科教授）の対談、『この国の戦争―太平洋戦争をどう読むか』では、2人が戦争の語りを徹底的に懐疑する小説として、本書を強く推しています。https://toyokeizai.net/articles/-/606347?display=b

またBRUTUS連載『ラランド・ニシダの愛すべき純文学』でも紹介されています。https://brutus.jp/lalandenishida_005/



【内容紹介】Amazonより

「父の開いていた祈祷会では、みんなポロポロという言葉にならない祈りをさけんだり、つぶやいたりしていた――表題作「ポロポロ」の他、中国戦線での過酷な体験を描いた連作。谷崎潤一郎賞受賞作

著者について

1925年、東京都生まれ。東京大学文学部哲学科中退。軽演劇、将校クラブの雑役、香具師などの職を転々とした後、翻訳、文筆業へ進む。1979年、「浪曲師朝日丸の話」「ミミのこと」で第81回直木賞、「ポロポロ」で第15回谷崎賞を受賞。2000年、ロサンゼルスにて客死」



■出版社： 河出書房新社

■発売日 ： 2004/8/5

■文庫：230ページ



＊個人保管の中古品でありますこと、ご了承ください

＊商品紹介と画像の一部は、Amazonより転載させていただきました