ブラームス

ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.83



クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ)

指揮：レナード・バーンスタイン

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1984年10月



ツィマーマン27歳、バーンスタイン66歳の録音ですが、ツィマーマンはバーンスタインに全くくらい負けしていない堂々とした演奏です。ツィマーマンは繊細で透明感のある音色をベースに、分厚い和音は力強く、端正で構築性にも配慮したピアノを奏でます。テクニックはこの上無いほどの高みに達しています。バーンスタイン指揮のウィーン・フィルは濃厚で熱気に溢れたヘストフォームを示しています。



音楽評論家：宇野功芳氏

「ツィマーマンのタッチは強靭、鮮明を極め、冴え切った音とテクニックがスピーカーからとび出してくる。ブラームスの作品がこんなにピアニズムを感じさせる演奏も少ないが、彼のよさは技巧だけが一人歩きせず、やはり音楽表現として使われている点で、息もつかせぬ驀進の迫力から、みずみずしい弱音の透明感まで幅が広い。フィナーレの最初の主題につづく対句(0：17)の余情や、第2主題(1：50)の冴えた詩情など、ツィマーマンの並々ならぬ才能を伝えてやまない。バーンスタインの棒は相変わらずカロリー満点だ。ライヴのいためもあっていっそう燃えており、ブラームスの情熱をとことんまで抉りぬくが、ときに美感をはみ出してしまうのも事実である。」



ツィメルマンは微塵の難しさも感じさせず楽譜のとおりに完璧に弾いてしまいます。普通のピアニストでは音がばらけたり不揃いになるような箇所でも、きっちり打鍵してきます。交響的構築を重視したアプローチを取っており、積み重なった和音は強烈な勢いで叩き込んできます。その一方で、余計な響きを残さないように意識的に音を切る場面も多くしています。これにより、重厚な響きを出しつつも全体としては端正な雰囲気が維持され、節度を持ったロマンティシズムが表現されるのです。まだ若かったツィメルマンがここまで突き詰めた演奏をしていることに脱帽するしかありません。



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