●製作
成形年:1869年
完成年:1872年
●素材:硬質磁器
●サイズ
W:24,5 cm

★DECORE～の印字。正式にセーブル工場で装飾された意味を表します
※ペインターの候補は複数いますが割合します


普仏戦争が明けて、ナポレオン3世が失脚した直後のセーブルによる作品。プロイセンに占拠されることにより、この後、多くの職人がフランスから国外に移籍していくことになります。作品のクオリティは下降線の一途を辿ることになり、反してマイセンが西洋一に返り咲く転換時期となります。

シンプルな構図ではありますが、一輪の花でさえすべてを経験してきた”オーラ”を感じます。アスター、昼顔、ケシ、それぞれ西洋磁器の十八番ともいえる組み合わせですが、光の陰影を見事に表現するアスターや全体的な葉や茎の”うねり”などは初期から続くセーブルの得意技。この描き方こそフランス流と言い切れると思います。

金彩もシートを用いた転写方式で、丹念に一切漏れず磨き切らなければなりません。波打つ金彩は非常に優雅で、素朴な花々を装飾する額縁のような役割を持っており、全体の崇高さを高めています。

この時代の作品も非常に貴重でなかなか目にする機会もないと思います。傷や使用された形跡がない素晴らしい逸品をお出ししてみましたので、この機会に是非手に取ってコレクションに加えてみてください。