帯は破れたりしてます
多少使用感あります。

細かいことが気になる方はご遠慮ください。
家にあるもので簡易包装で発送します。


酒井 健　バタイユ―魅惑する思想 哲学の現代を読む 1 白水社

　「思想とは何か」と問い、定義を求めることはあえて避けよう。「思想」に「求めるべきイデー」の重責をことさら負わすことは、「思想」そのものの妙味をそこなう結果を招かないだろうか……。「混迷を打破する方法論」を模索することも重要だが、今はひとまず、「思想が（私たちを）魅惑する」、その様態そのものに「淫してみる」ことも一興なのではないだろうか。
　……本書は、「ダイレクトにテクストを引用し、読解し、解説する」この３段階のプロセスをたどりながら、思想の妙味に溺れてしまおう、という企図から生まれた。ゆえに、これは「概説書」ではない。思想とは、「知識」ではなく「堪能すること」だ。第1弾は、この「バタイユ」。数多くの著作を、哲学、文学理論、社会学、経済学、宗教理論、美術評論、性の理論、果てはエロスの妖かしに満ちた小説にまでその触手を伸ばし、貪欲に、しかしまた苦悩と狂想に突き動かされて著述し続けたバタイユの思想体系を、本書は１作品につき１章を割き、綿密な読みで解き明かしていく。これはまさに、多様性に満ちたバタイユのテーマ群を丹念にたどるにはうってつけのスタイル。本シリーズでは、個々の思想家の生涯・出来事についての叙述は極力切り詰め、主として原文そのものの解読を通して、思想家たちの実像を浮き彫りにしていく。読者は、「書かれたもの」こそが「実体験」であり、真に享受すべき対象であることを、認識するであろう。未知なる愉悦への旅立ちがここにはある。