画家の牧野伊三夫さんがほとんど目的のない旅を重ねて綴ったエッセイ集「へたな旅」の出品です。
筆と絵の具だけを仕事道具にする、時間には自由が利く職業が画家とのことで、日本を旅するにも飛行機や新幹線はほとんど使っていません。
わざわざ各駅停車や船を選んで移動されています。
こういうのを贅沢というのです。
しかも気が向けば旅先でも仕事ができる。
憎たらしいほど贅沢といえます。
実際、そうして描いた絵が本書にも多数掲載されています。
総ページ数255。
初版発行2024年11月26日。
この冊子は初版です。
ご不在でもポスト投函されるネコポスで発送します。

この本にはマダガスカルへの旅も載っていますが、牧野さんにとって日本国内の旅ではどこへ行っても風呂と呑み屋が大事とのことで日本中の温泉や銭湯、ビールや日本酒、ハイボールやカクテル、つまみなどの美味い名店が掲載されています。
牧野さんは経験を重ねたことで、店構えを見れば9割方そこが良い店かどうか判るようになったとのこと。
私も同じく、9割5分は判ります。
残り5分の訳は、新規開店だとまだ店構えに歴史がなさ過ぎて判断に難しいところがあるからです。
牧野さんは「入り口にパトランプや電光掲示板のある店で好ましいと思ったことはない」と書いていますが同感です。
もしあなたが店を開こうと思っていて、上質の客に恵まれたいのであれば電気で動くようなモノは入り口に置かないことです。

昼間から呑む。
移動中も呑む。
朝風呂浴びて呑む。
その合間に少し絵を描く。そして呑む。
まあ徹底して呑んでます。
職業が酒飲みで趣味が絵なんじゃないか、というくらい。
彼に言わせると「なんとかしてへたに描こうとする」のが絵なのだそう。
じょうずに描こうとすると自分の感情から離れていってしまうから、と。
へたな旅というタイトルもそこから付けたとのことです。
しかし本書の内容は全然へたではなく、むしろ旅上手で生活達人と言えます。
旅先で出会った旨いつまみを自分で再現したり、自宅の風呂を快適にするため名札を提げたりしていますから。

この出品のBGMはスティングの「エブリ・ブレス・ユー・テイク」です。
スティングさんも「ただ自分の歌を作っているだけで、みんながやれロックとかポップとかジャンル分けしたがる理由が分からない」と言っています。
ご質問等はお気軽にどうぞ。