●江戸明治和本●〈ゑ入〉女重宝記（元禄5年）苗村丈伯

【判型】半紙本5巻5冊。縦219粍。

【作者】苗村丈伯（艸田寸木・三径）作・序。

【年代等】元禄5年5月刊。［京都］吉野屋次郎兵衛ほか板。

【備考】分類「往来物・教育」。元禄期以降に数多く板行された重宝記類のうち最も流布したもの。自序に「今、この五冊の草子に、女の善を述べあらわして、かのひがみを揉めなをし、女の覚へてよき事を書あつめて、かの拙を直ならしめ申候」とあるように、女子一般の教訓を含む女性生活百科の嚆矢である。一之巻「女中万たしなみの巻」は、「女は人間のはじまりの事」以下7項で、養生・風俗・教養・言葉遣い・化粧・衣裳など日常生活全般の心得。二之巻「祝言の巻」は、「祝言の次第」以下10項で、婚礼祝言・諸飾り・給仕作法・食礼について。三之巻「懐妊の巻・子育て様」は、「懐妊の事ならびに養生の次第」以下17項で、産前後の養生、妙薬、新生児養生、服忌など。四之巻「諸芸の巻」は、「手習ひの事ならびに文書く事」以下9項で、手習い・和歌・琴・貝覆い・歌かるた・香などの諸芸と「女中諸病妙薬」「万染み物落し様の事」。五之巻「女節用集字尽」には、器財・衣服・絹布・染色等の字尽や「源氏物語目録」、仮名遣い、五節句、「新大和言葉」「小笠原流万包様・折形之図」など10項を載せる。本文をやや小字・9～12行・所々付訓で記し、各巻に挿絵数葉を掲げる。板種も頗る多く、元禄5年・同13年・同15年（8月・12月）・宝永8年・刊年不明（数種）などが知られるほか、享保14年以前の改題本として『〈ゑ入〉女宝蔵（女たから蔵・おんな宝蔵）』があり、さらに挿絵を一新した全面改訂版『〈絵入日用〉女重宝記』（高井蘭山校訂）が弘化4年に出版された。

★原装・題簽付・状態概ね良好（ややシミ）。【参考価格（初出品時の相場）：日本の古本屋で、元禄15年板揃いが、528,000円。元禄5年板5巻合本1冊が、132,000円】。