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【内容紹介】

新米サラリーマン京助。定年退職を迎えた南田。そして南田の紹介で知り合った雪村。京助はこの二人を、その気骨、正義感、心の底にある優しさに感銘し尊敬するようになる、というのが出だし。やがて社内には派閥争いがあることが判明。先輩二人はこれに加わらなかった（だから出世できなかった）ので京助もそう振る舞うが両派から不興を買ってしまう、てなことが一つ。もう一つは源氏お得意の恋愛もの。南田も雪村も心に決めた人がいるのだが、諸事情によって成就せず。これを京助の後押しで派閥問題共々解消に至る。まるで箱庭の世界。

源氏鶏太（1912- 1985 ）は、日本の小説家。富山市出身。

多く映画化・ドラマ化され、映画化作品は80作を超えている。特に、GHQにより戦前よりの会社の重役陣が退社させされ、本来重役になるべきではない人物たちがサラリーマン重役になったという連作短編集『三等重役』は、「三等重役」という言葉自体を流行させるほどの反響を呼んだ。河村黎吉が社長役、森繁久彌が人事課長役で1952年に東宝により映画化もされ、ヒット作となった。この映画は、河村が死去したために森繁が社長役となって「社長シリーズ」としてシリーズ化され、東宝のドル箱映画となった。源氏は1961年に、東宝の監査役に就任している。1955年に発表された『七人の孫』も、森繁主演でテレビドラマ化され、人気を博した。中野実などのユーモア小説の流れを汲んで、軽妙な筆致で恋愛を描き、1961年に『婦人公論』に連載された「御身」は、金で買われることから始まった男女関係が恋愛に結実するまでを描いて、当時の独身男女の「恋愛至上主義」に鋭い批判。

従来のユーモア物に物足りなさを感じてブラック・ユーモアを志向し、会社内に恨みをもったサラリーマン幽霊が現れる小説など「幽霊もの」「妖怪もの」を多く発表した。1971年『幽霊になった男』『口紅と鏡』などの作品で吉川英治文学賞を受賞。戦争中に海軍に所属していたことから、池島信平と十返肇が創設した「文人海軍の会」の会員だった（他の会員は阿川弘之、豊田穣など）。

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