「にんじん」
ルナール,J. / 窪田 般彌
定価: ￥ 476

やや日焼けがありますので古本に理解のある方にお譲りします。

昔の小説ですが筆者の経験を元に書かれているので強烈な生々しさが感じられる描写があります。

典型的な毒親育ち、機能不全家族、
しかも三人兄弟の愛玩児ではなく搾取児と容姿のハンデという、

最悪のガチャ外しまくりの人生…
赤毛でありろくに食べさせてもらえない理由から痩せっぽちな見た目のためにんじんという不名誉なあだ名を家族全員につけられ、

作中「にんじん」の本名はついぞ明かされない始末で免疫が無い方は最後まで読めないかもしれません。

作者が実体験をもとにしている分トラウマからあえてぼかされている心理描写も毒親育ちには見破れてしまうのですが、

そんな環境に生まれるとか夢にも思わない人にはさっぱり分からないと感じる部分もあるようです。

普通の家庭育ちの方の中にはドン引きされる内容であること間違いなしですが、

本当に厳しい家庭育ちの方はこの少年の心理描写に共感できてしまう方もいるだろうなと当方は確信しています。

読み手によって評価が分かれる作品です。

毒親問題がはっきりと社会問題として認知されていなかった時代に初めて世に出たタブー作ですが、

改めて社会に子供が歪まない健全な精神教育の重要性を認識させるきっかけにもなった作品です。

言葉自体はまだありませんでしたが、
「毒親」はいつの時代のどこにでもいるということと、

「母と娘」以上に「母と息子」の組み合わせのほうが問題はより深刻になる事が改めてよくわかる作品です。

幼児期逆境体験が思春期に与える影響も分かる作品です。

作品の良い点は、
主人公が虐待による保身から嘘をつく事はあっても自分の気持ちや問題に向き合ってその内容を人に打ち明ける時はいつでもとても正直な点に、

彼自身の「純粋さ」が死んでいない希望を読者に気づかせてくれる点です。

自分の親は毒親かもしれないと感じている方には気づきの視点から一読してみることをおすすめします。

気持ちが滅入らないよう、
ご購入いただいた方にはプレゼントもお付けさせていただきます。

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