『三体』は、中国のSF作家・劉慈欣（リウ・ツーシン）による壮大な宇宙スケールの物語です。物語は、文化大革命期の中国でのある出来事をきっかけに、地球に向かっている異星文明「三体文明」との接触が明らかになるところから始まります。三体文明は、自らの世界の崩壊を避けるために地球への移住を計画し、これに対して人類はさまざまな反応を示します。人類と三体文明との間で繰り広げられる複雑な駆け引きと、科学技術の進化、そして人間存在の本質に関わる哲学的な問いが交錯する本作は、単なるSFの枠を超えて、読者に深い考察を促します。

作品のタイトルにもなっている「三体問題」とは、物理学における古典的な力学問題であり、この問題を解くことが物語の核心に関わっています。劉慈欣は、この難解なテーマを巧みに取り入れながらも、エンターテイメント性を失わない見事な筆致で物語を展開しています。

『三体』は、現代SFの名作として世界的に高く評価され、多くのSF賞を受賞しています。