ベートーヴェン

①交響曲第5番 ハ短調 作品67《運命》

②《エグモント》序曲 作品84

③大フーガ 変ロ長調 作品133



指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音:1947年5月27日①②、1952年2月10日③



フルトヴェングラーの《運命》の録音では、この1947年盤と、ウィーン・フィルを振った1954年盤がともに有名で優れた内容ですが、性格が大きく異なる演奏です。1954年盤はフルトヴェングラー にしては珍しく客観的な演奏で、遅いテンポを守り、立派に堂々と音楽の魂を響かせていくのに対して、この1947年盤はテンポの緩急が大きく、感情移入が激しく、フィナーレは壮絶の限りを尽くした速さに達します。1947年はライヴ、1954年盤はスタジオ録音というのも影響しているとは思いますが、どちらも聴いていただきたい演奏です。この1947年盤は70年以上前の録音ですが、意外に生々しい音で好感が持てます。



音楽評論家:吉田秀和氏

「テンポの緩急やダイナミックの増減の仕方などに、驚くべき自由があり、しかも全体を見事につなげるという点で、驚くべき独創性が見られた。彼が不滅の名演を残したのは、対象になった音楽の構造と彼の音楽の特性とが、ほかのやり方では達成されない素晴らしい調和に達したからだ。時代の流れが変わったようにみえればみえるほど、かえってフルトヴェングラーの中に本当の音楽の力と魅力を求め続ける公衆がいる。」(中略あり)



空前絶後の名演奏です。運命の動機を念を押すように強調して、その後は快速に飛ばし、また運命の動機を強調する。冒頭部分ですでに引き込まれます。木管の緩徐フレーズは美しく歌いぬき、なんとも変化に富んだ演奏です。そして、終楽章のブリッジ部分では再弱音からためにためて終楽章冒頭の3音で情熱を爆発させます。ここが最高潮と思いきや、ベルリンフィルの実力には目を見張るものがあり、終盤ではさらにギアをあげて熱い演奏になります。



国内盤、帯無し、盤面傷無し 12



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