ショスタコーヴィチ

①ピアノ協奏曲第1番ハ短調op.35

②室内交響曲ハ短調op.110a

③前奏曲集op.34～第10番嬰ハ短調／第17番変イ長調／第24番ニ短調／第14番変ホ短調／第13番嬰ヘ長調／第6番ニ長調／第5番ニ長調



エフゲニー・キーシン（ピアノ）

ヴァシル・カン（トランペット）

指揮：ヴラディーミル・スピヴァコフ

モスクワ・ヴィルトーゾ室内管弦楽団

録音：1988年



音楽評論家：宇野功芳氏

「ネクラなこの作曲家には珍しい気楽で明るい音楽で、まことに親しみやすいが、それでいてさすがに内容が濃い。オーケストラは弦楽合奏だが、それに独奏トランペットが加わるというユニークなもので、全体は奇智に富み、西欧風モダニズムの影響を強く受けている。キーシン16歳のときの録音で、これ1枚あれば満足できるほどの名演である。（中略）キーシンの音楽性と感受性とテクニックは卓越しており、まだ目立った個性は出ていないにもかかわらず、その表現のしたたかなこと、センスのあること、説得力のあることでは際立った存在である。第1楽章から、タッチといい、音色といい、リズムといい、透明、鮮明の極みで、目がさめるようであり、スピヴァコフの敏感な棒の中で水を得た魚のようにふるまってゆく。しかも悪達者にならないのは音楽性が優れているからで、彼の場合、すっと弾くひと節が見事なのだ。この楽章のテーマなど、性格を強調した跡は皆無なのに、くっきりと像を定着させ、そして音楽を聴くよろこびをあたえてくれる。第2楽章のリリシズムも最高にものを言っているが、キーシンのタッチの美しさを完全にとらえ切った録音のすばらしさも特筆に値しよう。まるで聴いている部屋にグランド・ピアノが置かれているような気がするほどで、それはフィナーレでさらに絶妙な効果を上げている。スピヴァコフの前奏のピアニッシモも無類の美しさだ。第3楽章はわずか1分あまりの間奏曲で、ふつうの演奏では単なるつなぎの音楽になってしまうのに、キーシンとスピヴァコフは初めて意味を感じさせてくれた。速いテンポが成功の大きな原因であろう。フナーレは全曲の白眉！スムーズに弾きつつもこくがあり、メリハリが立ち、リズムが語る。誌的な高音など抜群だ。」



輸入盤【廃盤】盤面傷無し　16



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