幸田文
新潮文庫　7冊セット

①父・こんなこと

父露件の死に至るまでと、その翌日の葬儀の模様を描いて、刻々の死の影を見送る者の心の記録とした『父ーその死ー』。掃除のあとで、念を入れるために唱えなければならない呪文の話『あとみよそわか』等、露伴父子の日常生活を生き生きと伝えるエピソード七編から成る『こんなこと』。常に誠実に生き、誠実に父を愛した子が、その偉大な父をしのんで書いた記録文学。

②流れる

梨花は寮母、掃除婦、犬屋の女中まで経験してきた四十すぎの未亡人だが、教養もあり、気性もしっかりしている。没落しかかった芸者置屋に女中として住みこんだ彼女は、花柳界の風習や芸者たちの生態を台所の裏側からこまかく観察し、そこに起る事件に驚きの目を見張る.....。華やかな生活の裏に流れる哀しさやはかなさ、浮き沈みの激しさを、繊細な感覚でとらえ、詩情豊かに描く。

③おとうと

高名な作家で、自分の仕事に没頭している父、悪意はないが冷たい継母、夫婦仲もよくはなく、経済状態もよくない。そんな家庭の中で十七歳のげんは三つ違いの弟に、母親のようないたわりをしめしているが、弟はまもなくくずれた毎日をおくるようになり、結核にかかってしまう。事実をふまえて、不良少年とよばれ若くして亡くなった弟への深い愛情の情をこめた看病と終焉の記録。

④闘

東京近郊の結核病棟の四季を通して、病苦にふみあらされた人間のく生＞とく死＞の凄絶なせめぎあいを、繊細な眼と鋭い感性で見据え、美しい日本語で描いた長編小説。

⑤雀の手帖

大正期の女の半生をきものに寄せて描いた自伝的作品。著者最後の長編小説。

⑥きもの


⑦動物のぞき

表紙カバーにスレなどの経年変化があります。
古本であることを理解の上、
写真にて十分に状態を確認し、購入をご検討ください。