徳島藩と蜂須賀家に関する歴史・美術工芸資料の収集保存、展示公開を行っています



柳橋水車図屏風

　宇治橋に柳、水車そして蛇籠などを配する柳橋水車図は、桃山～江戸時代前期にかけ流行した。本作もそのひとつと考えられる。右隻、左隻にはそれぞれ春・夏の時期の柳が表現され、蛇籠などを意匠化し、右隻には金銅版の弦月が配される。落款などはなく、作者は不詳。屏風裏面に幕府御用絵師の住吉弘定（ひろさだ）が室町時代の絵師土佐広周（ひろかね）の作と極めているが、実際には江戸時代前期まで下ると考えられる。

　藩祖蜂須賀家政（いえまさ）が豊臣秀吉から拝領したと伝わる。



紫糸威大鎧

徳島藩第8代藩主蜂須賀宗鎮（むねしげ）（1721～1780）所用の甲冑。平安時代から鎌倉時代にかけて用いられた優美な大鎧を模した復古調の鎧。紫糸とともに、裾部分は茜糸で威されており、色鮮やかである。兜の吹返や籠手などには、蜂須賀家の替紋である「稲丸紋」があしらわれる。鎧の内に着用する満智羅（まんちら）まで現存するなど、保存状態が良好である。

　胴の正面にある弦走葦（つるはしりのかわ）には、江戸時代の代表的な絵師である円山応挙の獅子図が描かれる。