#ロラン・バルト の訳書などでも知られる「#クイズダービー 」篠沢教授による著作。「独創性とはすべて、先人からの剽窃である」（T.S.エリオット）というシニカルなテーマが貫いています。



最初の50頁は「理論編」、残りの180頁が「実用編」。応用実例は2段組になっているところもあるので、情報量は比較的多いです。



理論編は、例えば「あたまの10行を捨てなさい」といった形のノウハウで、駆け出しの #ライター さんなどには参考になる部分でしょう。



理論編は、実例文をあげて、その構造や面白みを篠沢教授が解説するものです。書き方そのものというよりかは、名文の読み方の本と言えるかもしれません。すなわち、よく書ける人は、よく読める人、ということでしょう。



ネットには本書に対する酷評も見られます。篠沢教授の悪ふざけにはついて行けないという人もいるでしょうし、何しろ「文章術」というタイトルから、文章を書くテクニックを体系的に教えてくれる本だと勘違いしてしまうと、よくわからん、ということになってしまうのかもしれません。



しかし、さまざまな表現を名作から読み取るコツ（篠沢教授流）という趣旨であれば、「文章術」という表現は誤っていませんし、篠沢教授の講義や本読みがどういうものだったのかを知る、カジュアルな手がかりとしては面白い本だと思います。



なお、実例文には、#黒柳徹子 や #三島由紀夫 #大江健三郎 #筒井康隆 #吉本隆明 #蓮實重彦 #中村光夫 #倉橋由美子 #大藪春彦 #志賀直哉 #宇能鴻一郎 などが選ばれています。



学校では教えない文章術: 模倣こそ文章上達の王道である (青春文庫 し- 2)

青春出版社刊



篠沢 秀夫　1933(昭和8)年、東京生まれ。学習院大学仏文、東京大学大学院修士課程卒、フランス政府給費留学生試験首席合格、パリ大学文学部現代文学免状。明治大学教授を経て、73年学習院大学文学部教授。現在、学習院大学名誉教授。19世紀後半から今日までのフランス文学においての表現の問題を研究。