ドヴォルザークの第7番は、ベートーヴェンやブラームスに通じる、シリアスで緊張感のある構成と内容を持つため一般の聴衆にはやや取っつきにくく人気曲ではない。しかし専門家や批評家の間では「ドヴォルザーク最高傑作」とも言われる。とりわけ構成力、動機展開、情熱的なドラマ性においては、人気の8・9番より評価する声も多い。ビエロフラーヴェクは1990～1992年のチェコ・フィル首席指揮者。チェコのビロード革命後の混乱で団員の一部がラファエル・クーベリックの復帰を望んだため自ら辞任。渡英してBBC響やロンドン・フィルなどで活躍。その国際的な実績と人格が評価され、2012年にチェコ・フィル首席指揮者として再任されたが2017年没。チェコ国内では「国民的巨星の死」として追悼がなされた。この録音はチェコのスプラフォン・レーベルが一時衰えた時期に、東欧・北欧の音楽や指揮者の紹介に特に力を入れていた英国のシャンドス・レーベルと国際的キャリアを強めようとしていたビエロフラーヴェクとの意向がマッチして実現した。当時としてはチェコ音楽の深い理解に裏打ちされた抒情と緊張感を両立する名演として国際的に高評価であった。日本未発売。

ドヴォルザーク

①交響曲第7番 ニ短調 Op. 70, B. 141

②夜想曲 ロ長調 Op. 40, B. 47

③交響詩「水の精」 Op. 107

イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルハーモニ管弦楽団

録音：1992年①、1994年②③

シャンドス(UK)海外盤（1995年製造）