海坂藩大全 上 藤沢周平

『蝉しぐれ』『たそがれ清兵衛』など数々の名作の舞台となった架空の美しき藩、海坂藩。その海坂を舞台にした短篇を集めた夢の一冊


藤沢周平を最初に読んだのが『蝉しぐれ』。舞台は海坂藩であった。他にも長篇が八篇、短篇が二十二篇もあるらしい。これらを「海坂もの」と呼ぶ愛好家が多いそうな。連作短篇の趣きがある「たそがれ清兵衛」を除く短篇二十一篇を集めた上下二巻がこれ。海坂もののクライテリアは、①海坂、海坂藩と明記、②五間川が流れている、③染川町という色町がある。しかし、小藩を舞台にしたものはもっとあるような気がする。小藩でも派閥争い、お家騒動など事件はあるもので、いまと変わらない。ほっこりするようなのはあまりない。

カバー上部に一部ヨレあり