①ラフマニノフ：ピアノ協奏曲 第２番 ハ短調

②チャイコフスキー：ピアノ協奏曲 第１番 変ロ短調



ホルヘ・ボレット（ピアノ）

モントリオール交響楽団

指揮：シャルル・デュトワ

録音：1987年５月



ロシアのロマン派を代表するふたりの作曲家、チャイコフスキーとラフマニノフの協奏曲をカップリング、というよりも、ピアノ協奏曲で最も人気のある2曲の組み合わせといった方が良いと思います。南米出身の名ピアニスト、ボレットの名技と、デュトワ指揮モントリオール交響楽団の華麗なサウンドが魅力の一枚です。ピアノもオケもとても透明で美しいです。



音楽評論家:宇野功芳氏

「まずチャイコフスキーだが、冒頭の曲の壮大さを前面に押し出した迫力満点の弾きぶりだ。デュトワの指揮も巧いが、これでなければチャイコフスキーは始まらないのである。このテンポの遅さはどうだろう。クレッシェンドの味の濃さとともに、ものものしさは比類もなく、テンポが遅いからこそ、楽器はフルに鳴り切り、まさに理想のチャイコフスキーの姿といえよう。ラフマニノフにおけるボレットは、さらにすばらしい。第1楽章の初め、例の7の和音の連続を色のあるハーモニーで弾き出すところからすでに惹かれるな、少しも力んでいないのに楽器が良く鳴っている。そしてフォルテシモに達するや、そのアクセントの鋭さにびっくりさせられ、オーケストラにテーマが出るところの伴奏では、細かな音符のすべてが眼に見えるように聴こえてくる。それはさながら魔術のような鮮やかさだ。」



ラフマニノフにしてもチャイコフスキーにしても、速いパッセージにおけるテンポは数ある録音の中でも、おそらく最も遅い部類に属するかもしれない。従って、若手ピアニストのようにバリバリ弾き進む演奏を期待する向きには物足りないかもしれない。しかし、ピアノの音色の美しさといったらない。超が付くほどの美音なのである。単に録音状態が良いという問題ではなく、まさにボレットならではの至芸といえる。デュトワの指揮も例によって極彩色系なので、ある意味非常に派手な演奏であり、聴きごたえ十分。



国内盤、帯無し、盤面傷無し　6
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