「死者の書」1988年創元推理文庫版初版
　訳者: 浅羽莢子
　ぼくの目の前で、少年がトラックにはねられた。事故のあと町の人間が聞いてきた。「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」笑って?

「月の骨」1989年初版
　美人で、すてきな夫や親友がいて、もうすぐ赤ちゃんも生まれる。幸せの絶頂にいたあたしは、ある時から奇妙な夢を見るようになった。あたしとまだ生まれていないあたしの息子は、5つの月の骨を捜すためこの世界に帰ってきた

「炎の眠り」1990年初版
　ぼくは呆然としていた。目の前に、三十数年前に死んだ男の墓がある。そこに彫られた男の肖像が、なんとぼくそのものだった❣️

「我らが影の声」1991年初版
　兄が死んだのは、ぼくが十三のとき、線路を渡ろうとして転び、第三軌条に触れて感電死・・いや、それは嘘、ほんとは
　ぼくは今、ウィーンで作家、映画狂のすてきな夫婦とも知り合い、毎日が楽しくてしかたない。兄のことも遠い昔の話になった。それなのに―

「空に浮かぶ子供」1997年三版
　おれはウェーバー・グレグストン。親友のフィルはホラー映画のシリーズをあてて、監督としちゃ絶好調。その男が、新作の完成直前にライフル自殺しちまった。やつはおれにビデオ・テープを残してた。なかには、小さい頃に亡くしたおれの母親の、飛行機事故で死ぬ最後の数分間が映ってて…

「犬博物館の外で」1992年初版
　おれはハリー・ラドクリフ、天才建築家だ。天才だから何をやっても許される。そう、おれはとっても嫌なやつらしい。それでも、ふたりの女と適当によろしくやってる。ある日、中東の偉いスルタンから仕事の依頼が来た。犬の博物館を建てろだと。はじめは断ってたんだが、だんだんその気になって…
英国幻想文学大賞最優秀長編賞受賞❣️

「沈黙のあと」1997年初版
　今、ぼくは最愛の息子を殺そうとしている。それなのに息子は微笑すら浮かべて…ひとつの嘘が幸福な家庭を奈落の底に

「蜂の巣にキス」2006年初版
　いつも飛び回っていて、その気になればいやというほど刺せる―“蜂の巣”それが彼女の綽名。30年前に殺され、ぼくが死体を発見した美少女だ。彼女の事件を書くという試みに、作家であるぼくはスランプ脱出の望みをかけた。だが…真相を探るにつれ・・そしてぼくを脅し指図する謎の影

　本の状態は概ね良好かと♪