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友情、家族愛、背負ったもの、失ったもの、そして生と死。誤解や不理解から別れ別れになった４人の同級生と、これまた不幸のどん底にいる男の物語です。



かつて炭鉱の町として栄えていた北海道の北都で育った小学生の幼馴染の4人「トシ」、「シュン」、「ミッチョ」、「ユウちゃん」。この4人が名付けた「カシオペアの丘」には遊園地ができます。その園長はくしくも39歳になったトシでその妻はミッチョンです。しかしこの遊園地は赤字続きで閉園間際です。シュンは東京に出て結婚し幸せな家庭を築きますが肺癌の末期で余命宣告を受けています。そしてユウも東京でテレビのディレクターになっていました。この４人は小学生以来バラバラになって没交渉でした。

　物語はカシオペアの丘を訪れたことがある少女が、東京で殺された事件をきっかけに動き始め、再び4人の人生が交わります。かつての炭鉱での事故や、トシが車椅子生活となった経緯、幼馴染み4人の関係がぎくしゃくしたきっかけ、読み勧めていくと少しずつ明かされていき閉塞感を募らせます。



上巻では特にがんで余命幾許もないシュンと、妻の不倫相手に愛娘を殺された川原さんの対比が中心に語られます。かたや絶望するものの死にたくない男、かたや絶望して死にたい男です。



とにかく登場人物全員が40歳にもなって心の中に隠し事や悩みを持っていて、それをカミングアウトしたり清算したりするためにもがくのです。

シュンは自分の祖父がトシを殺したことと、トシに大けがをさせたことを悩んでいました。トシはというと父を殺したのはシュンの祖父であるのにシュンを恨む自分と母に負い目を感じています。今はトシの妻となっているミッチョは学生時代シュンと同棲しており子供まで成したことを隠しておりトシに負い目を感じています。

嘗ての炭鉱都市としての繁栄はもうない故郷に集まった悩める幼馴染たち。そして彼らを取り巻く友人たちもそれぞれここ理に深い傷を負っていて…



内容は重く、厳しさもありますが、秀逸な設定でボリューム満点の長編小説です。