木瓜城　御城印　
新一万円冊　渋沢栄一邸の近く

深谷城が一名に木瓜(ぼけ)城とも呼ばれるのは、その縄張りを上から俯瞰するとあたかも木瓜の花、あるいは実の割れた所に見えるからだと言ふ。

城は康正２年(1456)、庁鼻和(こばなわ)上杉氏４代の房憲によって築かれ、その本拠となったものです。
庁鼻和上杉氏とは関東管領・上杉氏(山内)の一族で、祖は上杉憲顕の六男・憲英。
憲英以来、庁鼻和城(深谷市内)を居城としていたが、上杉氏と関東公方(足利氏)が争った享徳の乱に際してより堅固な城を築いて移ったものらしい。

役後、関東は徳川家康領となり、深谷城には松平(長沢)康直が１万石で入城、その後、長沢松平家を継いだ家康の子・松千代(七男)、忠輝(六男)と代わり、慶長15年(1610)より松平(桜井)忠重が８千石、元和８年(1622)より酒井忠勝が１万石と変遷するも、忠勝は寛永３年(1626)に忍(埼玉県行田市)に移封。
正保元年(1644)、城は廃城となりました。

城は唐沢川西岸にあり、「武蔵志」所収の古城図によれば、堀が入り組んだ複雑な形をしていたようです(木瓜の花か実に似ているかは不明だが)。
近年、発掘も進んで明らかになってきた深谷城の姿は中央に方形の本丸、二の丸を配し(本丸が東)、二の丸の西に西丸、南に掃部(かもん)屋敷、本丸北に北曲輪、そのまた北が秋元氏がいたらしい秋元越中曲輪、東が東曲輪。
建物は櫓が３基、南に大手門が開かれ、天守台もあったといふが詳細は不明です。
古城図にはないんですが、さらに西と南にも堀があった模様です。

現在、本丸、二の丸、西丸は深谷小学校、東曲輪は城址公園(この公園の石垣や塀は全くの模擬)、その他は市街地となり、遺構は多くはありません。
小学校南の管領神社のある土壇は掃部屋敷西側の土塁の残欠と推測され、また高台院境内にも土塁が残る(城の最西部？)。
城址公園東の富士浅間神社(旧・智形神社)の周囲にも堀の痕跡がありますが、ここは厳密には東堀の外に接してあるので城外になるでせうか？
一部の堀は小水路や暗渠となってかろうじて残る所もあります。