秘密結社テンプル騎士団―謎に包まれた聖地の守護者

開かれた封印古代世界の謎

ベスト，ニコラス【著】〈Ｂｅｓｔ，Ｎｉｃｈｏｌａｓ〉

五十嵐 洋子【訳】

主婦と生活社　1998



現代もフリーメーソンとしてその命脈を保っているテンプル騎士団とは何か。ルイ１６世の処刑は、１３１４年に騎士団の総長がかけた呪いが５００年後に実現したものだという。なぜ彼らは迫害され続けたのか。



テンプル騎士団の成立からド・モレ―総長の火刑までわかり易くコンパクトにまとめられています。

写真や絵がふんだん使われているのも良かったです。

テンプル騎士団というとある意味スキャンダラスで常軌を逸したような禍々しい風評の印象が強すぎて（悪魔崇拝をしたとか騎士団の入会式で死者の灰を食べさせたなど）真実の姿が伝わりにくい側面があるかもしれません。

しかし、本当のところは、ニコラス・ベストが述べているように当時フィリップ4世からかけられた嫌疑の十中八九に関して騎士団は無実だったのでしょう。

財政難のフランスで新たな財源が求められた結果、聖地を追われて存在意義を失ったものの莫大な財産を保有するテンプル騎士団に目が付けられたのは余りにもわかり易い構図。

フランス以外のほとんどの国の君主はフィリップ4世のテンプル騎士団員逮捕の勧告に同調しなかったのですし、同時代のダンテが「神曲」の中でフィリップ4世と教皇クレメンス5世を地獄に落としていることもテンプル騎士団消滅の責任は誰が負うべきか、一般にどう考えられていたかを示唆するものだと思います。

歴史ものはいろいろな著者のものを読むと、少しずつ別の捉え方をしていたりで面白いです。

現在の事ですらいろいろな見方があるのですから、ましてや過去のことなど、多角的に見ずに一つの視点から決めつけられるわけもないんでしょうね。（サーシャさまブログより）



カバー・帯にスレが見られますが、中はとてもきれいです。



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