宅蔵書ですのでそれなりに経年劣化しており少し日焼けがありますが、読むのには差し支えありません。ご了承いただけるかた宜しくお願い致します。

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　前半は実に上手いのですよ。残忍な犯罪者一味が全員出所した後に、中でも一人罪を被せられた荒が他に仲間に復讐する物語という流れです。



　運送会社に勤める荒、坂井田、時山は、勤務中のアルバイトが運送会社の社長に見つかり解雇されてしままいます。逆恨みした三人は時山の弟分・湯山と4人で社長夫婦を惨殺して家を放火。居合わせた中学生の娘は半身不随となり、弟は全身大やけどを負うのでした。子供たちは児童養護施設に入所するのですが、後に姉は自殺します。

　首謀者の時山と坂井田は、荒を主犯に仕立てあげ刑は軽く、嵌められた荒は一人無期懲役となりますが21年間模範囚として服役後に出所し3人に復讐を開始します。



　荒の出所後、間もなく坂井田と時山が相次いで何者かに殺され、そこには荒の指紋が残されていました。21年前も放火殺人事件の捜査にあたった老刑事・滝中は、当時から荒主犯説に疑問を持っていました。実は守年は癌に侵されて余命幾ばくもありませんが、これを最後の事件として犯人逮捕を誓うのでした。売れない芸能人である滝中の娘・朱や獄中、出獄後も荒を支援する謎の男・山田など、複雑に絡み合う周囲の人間関係とともに、事件は思わぬ方向へ動いていくのです。



　ここまでがざっと前半です。犯人たちの残忍な行動や、刑事親子の心情など上手く描かれていて、登場人物が多い割には混乱もなく話に引き込まれていきます。



　後半に入ると、ここまで犯人と思われていた「荒」の死体が発見されます。犯人は荒ではない！！！では、現場の指紋や目撃者の証言はどうなるんだ？