「カバレフスキー:ピアノ・ソナタ全集 ドッシン(P)」
アレクサンダー・ドッシン

Naxos

#アレクサンダー・ドッシン #CD・DVD

組曲「道化師」の軽快な音楽でおなじみカバレフスキーは、とりわけ子どもや若い人向けの作品を多く作曲し、芸術の大衆化を図ったことでも知られます。彼のピアノ・ソナタとソナチネは、概ね経歴の初めの頃に書かれたもので、それほど革新的な形式や個性的な和声を有している訳でもないのですが、名ピアニスト、ホロヴィッツやモイセイヴィチらに愛奏されたこともあり隠れた人気を誇っています。とりわけソナタの第3番は現在でも広く愛されています。要求される技巧はそれほどでもないのですが、極めて演奏効果の高い曲でもあります。

道化師のギャロップだけが一般には有名なカバレフスキーだが、彼には魅力的な作品が沢山ある。三曲のピアノソナタも華麗なピアニズムと親しみやすい旋律に適度なモダニズムが彩りを添える名曲だが、なかなか全集盤に恵まれなかった。ホロヴィッツの名演はあるが3番だけ。ドッシンの演奏は安定した技巧と美しい深々とした音色で十分に決定盤と言える。ソナチネも２曲併録されていて満足度が更に高い。唯一ケチをつけるなら、ソ連産のピアノソナタとどうにも雰囲気が合わないジャケ写くらいか。