ケンペの演奏の本質は、ポルタメント（音を滑らせるように移る）を控え、ヴィブラート（音の揺らし）を抑え、スコアを実直に奏で上げる。現代のピリオド奏法にも通じながらも、ドイツの古き伝統に則った普遍的な演奏。一見しての派手さはなく素朴なため、地味な印象を受ける。ただこの「第九」だけは、第4楽章の声楽部分が他の指揮者の演奏と大きく異なり、まるでオペラのように歌われていることで有名（ジュリーニなどもその傾向）。特に行進曲部分のコブシが効いたテノール独唱などを聴くとよくわかる。ウィーン国立歌劇場、コヴェント・ガーデン）、ミュンヘン・オペラで活躍したケンペらしいとも言える。



ルドルフ・ケンペ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

ベートーヴェン

交響曲第9番ニ短調 op.125『合唱』

ウルスラ・コシュト(ソプラノ)

ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)

ニコライ・ゲッダ(テノール)

ドナルド・マッキンタイア(バス)

ミュンヘン・モテット合唱団

ミュンヘン・フィルハーモニー合唱団

録音時期:1973年5月31日～6月4日

録音場所:ミュンヘン、ビュルガーブロイケラー

EMI国内盤（1991年製造）

帯をシールでケースに貼り付けています。ご理解のある方の検討をお願いします。