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セレナーデ 第13番ト長調 K.525『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』
カール・ベーム指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

セレナーデ 第９番 ニ長調 K.320『ポストホルン』
カール・ベーム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

「レビューより」
　モーツァルトのセレナーデ中、最も有名というより、アイネ・クライネ・ナハトムジークに至っては、クラシックを聴かない方でも知っているという程で、その冒頭のフレーズはモーツァルトの音楽の代名詞となっている。この盤は現代楽器の大編成オーケストラによる同曲の代表盤であるし、カールベームの全モーツァルト録音の中でも、レクイエムと並んで白眉の名演とされるもの。なんと、贅沢にウィーン・フィルとベルリン・フィルを使い分けているのだ。
それも、70年代初期と言えば、各楽団とも最盛期と言って差し支えのない時期である。

　特にベルリン・フィルの方は、当時主席常任指揮者だったカラヤンに磨きをかけられていたし、特にポストホルンでは重要視される、管のソロ奏者に輝かしい強者がいたなんと、贅沢にウィーン・フィルとベルリン・フィルを使い分けているのだ。

　このディスクの画期的なところは、その音楽の持つ表情によって見合った楽団、それも超一流どころの名演と、モーツァルト指揮者としても第一人者であったべームの、幸せな結びつきである。
　優雅でチャーミングなナハトムジーク、壮麗、雄渾、そして色々な表情を併せ持つ、多楽章の交響曲然としたポストホルン。
　ウィーン・フィルの方は、やはり独特の弦の艶やかさと、高、低弦のバランスが秀逸。

　そして、この頃のベルリン・フィルであれば、どんな名指揮者であり曲であっても、余裕でドライブしているとは思うが、『ポストホルン』という曲の性格や構造に非常に見合った音の厚みと、表現の多彩さを備えている。他のポストホルンとは一線を画した、樹齢数百年の巨木のような雄大なスケールと、緩徐楽章の静謐な美しさを併せ持っている。聴くべし。