「ウィンダム図書館の奇妙な事件」
　2022年創元推理文庫版初版本
　訳者: 猪俣 美江子

　1992年の静かな2月なかばの朝。
　ケンブリッジ大学の古色蒼然たる貧乏学寮セント・アガサ・カレッジの学寮付き保健師（カレッジ・ナース）イモージェン・クワイのもとに、学寮長が駆け込んできた。
　キャンパス内のおかしな規約で知られる〈ウィンダム図書館〉で、学生の死体が発見されたのだ。
　学生は何らかの理由で倒れた拍子にテーブルの角に頭をぶつけたと見られ、その遺体のそばには古書が一冊。
　たんなる事故なのか、それとも……？　
　巨匠セイヤーズのピーター・ウィムジイ卿シリーズを書き継ぐことを託されたほどの実力派作家による、英国ミステリの逸品登場！

　巻末解説 三橋 曉氏
　著者のミステリが、わが国の読者に届けられるのは、おそらく今回が初めてと・・〈中略〉
　セント・アガサ・カレッジやら、チェスタトン・レーンやら、件のウィンダム図書館の館長の名前がクリスピン・マウントネッシングやら、ちりばめられた遊び心からも古き良きミステリの時代へのリスペクトた憧憬が伺える・・〈中略〉
　1998年、いきなり故ドロシー・L・セイヤーズとの連名で“王座そして統治”を上梓し、世間をあっと言わせる・・〈中略〉実はセイヤーズは、ウィムジイ夫妻のその後の長篇小説の草稿として書き記していたのである。〈中略〉
　セイヤーズの没後四十年を経て、ロンドンの代理人の金庫からタイプ原稿が新たに・・〈中略〉情熱的ともいえるセイヤーズ・ファンの著者に小説を完成させないかと打診がなされた・・
　逸話として“面白い”ですね♪

　ちなみに、著者は主人公“イモージェン・クワイ”の物語を、計四作書き上げたとのこと♪
　
　古書レベルとしての本の状態は極めて良好かと♪