●江戸明治和本●〈狂詠〉金生樹後見よそわか［〈教訓雑話〉阿登視世蘇和歌］（改装・題簽欠）

【判型】中本前後2編2冊。順に縦180・181／173・181粍。

【作者】忍岡常丸（藤本常丸）作・画・序。十返舎一九序。

【年代等】前編：文政4年春自序・刊（［江戸］山本平吉ほか板）

後編：文政5年春自序・初刊（［江戸］山本平吉ほか板）。天保15年秋再刊（［江戸］山本平吉板）。

【備考】分類「合巻・心学」。『〈狂詠〉金生樹後見よそわか』は石門心学流の通俗教訓書。広告によれば3編まで刊行し、それぞれ和綴じ本とは別に「一枚摺」も上梓する計画で、初編を「金のなる木のそだてやう、おもしろく、でんじゆごといろいろ、やみの夜の烏の論、金のなる木のかうしやく、その外『和論語』のぬき書をしるす」、二編を「初篇にもれたることをおもしろくつゞり、商人のこゝろえの秘事、しやく（癪）の病を治す法、長寿をたもつ伝、その外いろいろ」と紹介する。十返舎一九が世間の子供衆に示したならば、「金のなる木の成人して、金蔵もつくべし」と出版を勧めたことから刊行に及んだもの。前編の内容は、まず冒頭の「狂歌・あと見よそわか」で、「金のなる木」とも言うべき子供の育て方や、子供の心得になる事柄を、「植木して折々抜て見る子供、つく間がないぞあとみよそはか」「金のなる木をばゆるゆる育べし、跡みよそはか花も実もある」「子をもつて親の恩しる諺よ、もたぬうちから孝行にせよ」などの狂歌（教訓歌）100首ほどを列挙し、続いて「闇夜の烏」「夢ものがたり」「和論語抜書」などの教訓文を付し、適宜、教訓歌や挿絵を施す。この前編が好評のため続刊した後編は、前編の補遺であり、まず冒頭「狂歌」で同様の教訓歌・教訓文・教訓挿絵を数多く掲げた後、「商人心得の秘事」「癪の病を治す伝法」「和論語抜書（神明部・人皇并親王部・釈氏部）」に分けて種々の心得や教訓歌を紹介する。

★原装・題簽付・状態並み（一部小虫補修）。【参考価格（初出品時の相場）：日本の古本屋で、端本1冊が13,200円】。